浴衣と着物の違いとは?特徴や歴史など異なるポイントを徹底解説
2023.05.11
着物について
夏のお祭りや花火大会では、浴衣姿の男女を見かける機会が多くなります。
その他にも旅館や温泉宿では、浴衣を着てリラックスすることも多いでしょう。
なんとなく浴衣と着物の違いはわかっても、詳しく理解している方は案外少ないかもしれません。
そこで今回は、それぞれの特徴や歴史などを交えて、「浴衣と着物の違い」について詳しくお話します。
目次
浴衣と着物の違い①:着用する時期や場面
浴衣と着物の最も大きな違いとして、着用する時期や場面が異なる点が挙げられます。
浴衣は宿泊施設を除いて、夏の時期(6月~9月ごろ)に着用するものです。
現代では、夏祭りや花火大会など夏のイベントで着用されています。
宿泊施設で浴衣を着る理由は、一昔前の日本人にとって、浴衣は日常でリラックスする部屋着(ルームウェア)として活用されていたことの名残とされています。
そのため、浴衣は着物と比べて柄や帯に制約が少なく、自由にアレンジすることが可能です。
一方、着物は正装や晴れ着として、季節を問わず着用されることが多いでしょう。
具体的に言えば、お祝いの場や七五三、成人式などで着用されます。
また、浴衣は部屋着に近いカジュアルな着物であるため、当然お祝いの席には向いていません。
浴衣と着物の違い②:素材
実際に浴衣と着物を触ってみると、素材が全く異なっていることがわかるでしょう。
浴衣は暑い時期に着用することが想定されているため、汗を吸い取り、さらに乾きやすい木綿や麻、ポリエステルで作られています。
一方、着物は麻を中心に、季節に応じてウールやポリエステル、木綿などを用いて作られています。
また、最高級の着物の生地は絹です。
着物は浴衣よりも厚手であり、光沢や独自の柔らかさを感じられるはずです。
浴衣と着物の違い③:下に身に着けるもの
着物を着用する際には、その下に肌襦袢や長襦袢を着用します。
肌襦袢は、私たちが普段着るキャミソールやタンクトップといった肌着のような存在です。
そして、長襦袢は着物の首や袖口からあえて重ね着しているように着こなします。
その一方、浴衣は下着が透けることを防止するために、肌襦袢または浴衣用のスリップを着用するのみです。
普段浴衣を着用するシーンが少ないのであれば、洋服のときに着ているタンクトップ類でも代用できます。
浴衣の場合、長襦袢は着用しません。
このことからわかる通り、浴衣よりも着物の方が着付けに時間がかかるでしょう。
浴衣と着物の違い④:帯
着物を着用する場合、袋帯や半幅帯、名古屋帯などを使用します。
着物の格や外出する先に合わせて帯の種類も変わってくるでしょう。
一方、浴衣は一般的に半幅帯を使用します。
涼しげに見せることや実際の涼しさを重視しているため、素材や色合いが軽やかなデザインが多いのが特徴です。
また、着物はあくまでカジュアルな和装であることから、帯の合わせ方や結び方も非常に自由度が高くなっています。
最近では、一昔前までは子ども用とされてきたふわふわとした素材の「兵児帯」を合わせる方も増えているようです。
着物と合わせる帯については、下記のコラムからご確認いただけます。
着物に合わせる帯の種類まとめ。合わせ方の正解や結び方について
浴衣と着物の違い⑤:足元が違う
着物の場合は、足袋を着用します。
足袋は、洋服でいう靴下のような役割です。
足袋を履いたら、そこから草履(または雪駄や下駄)を履くことになります。
一方、浴衣の場合は足袋を着用せず、下駄をそのまま履いて外出することができます。
また、最近の下駄は、普段も使える洋風デザインのものも増えており、自分好みのものを履くことができます。
浴衣と着物・それぞれの歴史の違い
浴衣と着物は同じ和装のカテゴリーであるものの、誕生については違いがあるのをご存知でしょうか。
ここではそれぞれの歴史について詳しくお話します。
浴衣の誕生は貴族の湯あみ着「湯帷子」から
浴衣の起源は平安時代です。
当時の貴族は蒸し風呂を好んでいました。
その際に水蒸気での火傷防止や素肌を隠すために、湯帷子(ゆかたびら)と呼ばれる麻素材の衣類を身に着けたことが始まりだと言われています。
その後、安土桃山時代に入ると蒸し風呂だけでなく、湯上がりや寝巻きにも用いられるようになっていきました。
自宅で着る和装としての文化が根付いていき、湯帷子は「浴衣」と名前を変えて広がって行ったのです。
そして江戸時代に入ると、庶民が銭湯に通い始めるようになります。
これまで自宅で着用していた浴衣を銭湯の帰りに着用する人が増えていきました。
銭湯の普及によって、浴衣は部屋着としての役割だけでなく、夏の普段着として現代にも伝わるようになったのです。
着物の誕生は平安時代の「小袖」から
着物の誕生も、浴衣と同じく平安時代に入ってからだと言われています。
それまでは、布を簡素に加工した衣類を身に着けていました。
しかし、加工がしやすくさらに重ね着もできる点から、とくに貴族の間で着物が広まっていったのです。
そして、平安時代は身分も高い女性は「十二単」という何枚も着物を重ねたものを身に着けていました。
その十二単の下に来ていたのが「小袖」です。
この小袖こそが、現代に残る着物の原型だと言われています。
その後、着物は貴族だけでなく、一般庶民の間でも急速に広がっていきます。
そして、江戸時代になると着物が一般的になり、今の形として定着しました。
現代でも帯揚げや帯締めを使ってさまざまなアレンジを帯に施しますが、こういったルールのほとんどが、江戸時代に作られたと言われています。
しかし、明治以降になると着物ではなく洋服が日常着として用いられるようになっていきました。
これにより、着物は「お祝いの席や成人式といったイベントで着用されるもの」という風潮に変わっていったのです。
浴衣と着物の違いまとめ
ここでは浴衣と着物の違いについて簡単にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
■浴衣の特徴
- 着用する時期:夏のみ(6~9月ごろ)
- 着用するシーン:カジュアルな外出や室内着
- 生地:主に綿
- 帯:主に半幅帯
- 着付け:長襦袢、帯揚げ、帯締め不要
- 足元:足袋は履かない、下駄
■着物の特徴
- 着用する時期:通年
- 着用するシーン:お出かけ~フォーマルまで(素材や柄による)
- 生地:主に絹
- 帯:袋帯、丸帯、名古屋帯、京袋帯など
- 着付け:長襦袢、帯揚げ、帯締めを使用
- 足元:足袋は履く、草履(下駄・雪駄でも可)
浴衣と着物の違いは多い!季節やシーンで使い分けよう
浴衣と着物は同じ和装というカテゴリーではあるものの、着用するシーンや小物、そして歴史などに違いがあります。
夏祭りには浴衣を楽しむ方が多い一方で、着物は特別なシーンに向いています。
着物レンタル店の京乃都では、6~9月には浴衣もご用意しており、季節や着用シーンなどに応じてお選びいただけます。
また、夏に着物を着る際には、柄まで意識するとより素敵に着こなせます。
季節に応じた柄については、下記のコラムもチェックしてみてください。
着物の柄は季節ごとにルールがある?年を通して着られる柄はあるの?