着物は「左前」NG?前合わせの覚え方と注意点について徹底解説!
2022.11.28
着物について
着物の着方にはさまざまなルールが存在します。
そのなかの一つとして、前合わせに関するルールがあります。
前合わせは、襟元の部分で重ね方が決まっており、左前はNGです。
日頃から着なれている人であれば、迷うこともありませんが、久しぶりに着る場合やほとんど着ない人であれば、右前と左前のどちらが正しいか悩んでしまう人もいるでしょう。
本記事では、着物の前合わせの覚え方と、着物を綺麗に着用するコツについて解説していきます。
目次
着物の「左前」「右前」の違いとは?
着物の前合わせには左前と右前では着る対象が決まっています。
間違った着方をしてしまうとマナー違反になってしまうので、左右で異なる意味や理由を知り、正しく着物を着られるように確認しておきましょう。
着物は「左前」「右前」どちらが正解?
着物の前合わせは「右前」が正解です。
間違って「左前」にしてしまうと、敬遠されてしまうので気をつけてください。
左前が正解ではない意味と理由については、後ほど解説していきます。
着用する際に自分から見て右側の襟を下にし、左側を上に重ねると右前になります。
この着方が基本となり、間違えないためには、普段着物を着るときは必ず右前にするというように覚えておくと良いでしょう。
着物を「左前」で着てはいけない理由
前述の通り、「左前」の着方には意味があります。
それが着物を左前で着てはいけない理由になります。
左前は自分から見て左側の襟を下にし、右側を重ねた状態を指します。
着物の前合わせを左前にするのは、亡くなった人が着る死装束としての意味があるのです。
そのため普段着用する際に、左前にしてしまうと縁起が悪い、マナー違反として見られてしまいます。
死装束は亡くなった方がその後の旅路に出向くのにふさわしい姿ということで経帷子を左前にして着せ、そのほかの装飾品と一緒にあの世へ旅立ってもらうためのものと言われています。
男性の着物や浴衣でも「左前」はNG?
洋服では、男性と女性とでボタンの位置が左右異なる場合があります。
ジャケットやシャツでもボタンの位置が左右異なっているのを見たことがある人もいるでしょう。
しかし、着物や浴衣などの和装では洋服とは違い前合わせのルールに男性と女性で違いはありません。
そのため、洋服と同じ感覚で左右を逆にしてしまい、前合わせを左前にして着用してしまう場合もあります。
着物で左前にしてしまうと、死装束の意味に捉えられてしまい、常識がないと思われたり不快な思いをしてしまう人もいたりするので、和装全般は男性女性問わず右前が正しい着方だと覚えておくのが良いでしょう。
迷ったときはここをチェック!正しい前合わせの覚え方
SNSの投稿や他の人が着ている様子の写真を見て、前合わせを間違って覚えてしまう人もいます。
撮影時に反転してしまった画像は左前のようになっており、それを見て覚えてしまうと間違った知識となってしまいます。
また、知識として右前が正しいと知っているのに、混乱したり迷ってしまったりすることもあるでしょう。
正しい着方と前合わせの覚え方とともに確認していきましょう。
正しい前合わせの覚え方のポイントは3つになります。
相手から「y」字に見えればOK
右前と左前という言葉ではわかっていても、実際にどちらを重ねればいいか悩んでしまったときは、相手から見たときに「y」字に見えるように着る、と覚えておくと迷わないです。
相手から見たときなので、少し混乱してしまうかもしれませんが、慌てずに確認すると良いでしょう。
また、着物の着方をよく知らない人にでも確認してもらうときに伝えるのが簡単です。
襟元が「y」字に見えるかどうか見てほしい、と聞けば相手も答えやすくわかりやすいです。
着物の柄が多く描かれている方を上にする
着物には、美しい柄や模様が施されているものも少なくありません。
着物の柄は、他の人からよく見える位置に配置されていることが多いので、美しい柄がより多く描かれている方を上に重ねるようにするという覚え方をしても良いのではないでしょうか。
自分から見て左側に当たる部分の方に柄が多く描かれている傾向にあります。
右手を懐に差し込みやすいかチェック
着物は右利きの人向けに作られています。
そのため右手を懐に差し込みやすい着方をしているかどうかで、確認することができます。
右前が前合わせの基準になったのも右利きの人が懐に手を入れやすいかどうかという観点から決められた、という一説もあるようです。
右前が定着したのは、奈良時代にまで遡ると言われているので、さまざまな諸説があるかもしれません。
「左前」を回避!襟合わせに関する注意点
左前で着用して人前に出てしまうと縁起が悪い、マナー違反と言われてしまいます。
そのような印象を与えないために、和装全般、左前はNGということを念頭に置くようにしてください。
肌襦袢や長襦袢、浴衣も同様です。
右前にするという癖や覚え方をしていれば、間違って左前にすることもなくなります。
また、気をつけたいのが写真の反転です。
特にインカメや写真アプリを使用した場合、撮影画像が反転してしまう可能性があります。
実際の着用は右前でマナー違反をしていないのに、撮影した写真が反転していて左前になってしまっている人を見たことがあるでしょう。
正しい着用をしていても、結果として縁起が悪く見えてしまったり、マナーを疑われてしまったりするのは残念です。
特にSNSに投稿する場合は、色々な人の目に触れる可能性があるので、投稿前に左前になってしまっていないか確認してから投稿してください。
画像自体は、撮影時の設定か撮影後の編集で簡単に変更できるのでそれほど手間がかかりません。
着物の前合わせをキレイに整えるコツ
前合わせを綺麗に合わせるにはちょっとしたコツがあります。
そのコツを押さえておくことで、着物を綺麗に着ている人と見られ、印象もよくなります。
長襦袢でも同じなので、覚えておくと便利です。
「右前」を少し持ち上げて着付ける
右前にした際、裾からはみ出ていると不恰好になってしまいます。
そのため裾から出ないように気をつける必要があります。
着付けの際に、右前を少し持ち上げて裾からはみ出ない程度にした上で、左の襟を被せます。
そうすれば、裾からはみ出ることもないですし、裾も広がらず着用できます。
「背縫い」を背中の中心に合わせる
着物には、背縫いという部分があります。
これは着物を着たとき背中の真ん中部分に当たる縫い目です。
この縫い目を背中からお尻の真ん中まで中心を通るようにすると、綺麗に着ているという印象を与えられます。
斜めになっていたり中心からずれていると、どことなく不恰好に見えたり着物を着なれている人からすると美しくないと感じてしまったりします。
着物は「左前」を避けて美しく着こなしましょう
着物には着方のルールが存在します。
そのなかの一つとして前合わせに決まりごとがあります。
どちらを上にするかによって、意味が異なります。
左前は縁起の悪さやマナー違反だけではなく、見る人に不快感を与えてしまう恐れもあります。
左前を避けるのはもちろんのこと、それ以外にも細かい箇所に気配りすることで着物を美しく着ることが可能です。
見る人に不快感を与えず好印象を持ってもらうために、正しい着方とちょっとしたポイントを押さえて着物を着てください。
スッと筋の通った美しい振る舞いとともに、着物を着こなしてみてはいかがでしょうか?
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